オープンチャット
ラインが提供するオープンチャット。血液がんを経験した若い友人が「チャットを開設したので覗いてみて」と勧めてくれたので、喜んで参加した。それからまだひと月くらいだが、次々に仲間がつながり、いま70人を超える人数となっている。
チャットの参加者は造血細胞移植を受けた人が多いが、化学療法で白血病を克服した人や「遠く離れた街で治療している子の親」も参加している。どちらにしても、治療後の感染症に弱い状態の人たちやその家族。コロナ禍の外出制限下で心理的にも厳しい現在、再発の不安や骨髄穿刺検査の苦痛などについて率直に語り合うには、本当にうってつけの方法だと感激している。なにより「いま」の不安や苦痛について、自分の部屋やベッドの上にいながら「分かち合える」のだ。今日の検査で、再発かもしれない兆候が見られたこと。治療中と治療後に食欲がゼロのとき、何だったら食べられた? そんな疑問や不安に、それぞれが工夫したことを提案し合ったり、わかるよー怖いねえ、と我がこととして言葉を送り合う。
当事者同士が辛い胸の内を語り合うことのたいせつさを、私自身が「当事者」と呼ばれるようになって以来ずっと提唱し続けてきた。当時はSNSがなかったので、会場を借りて開催を新聞のお知らせ欄などで広報したものだった。いま集うことをリアル(Face to Face)というが、当時はリアルしかなかった。同じ経験をした者同士で、ただただ「わかる」「私もそう」「うん、うん」とうなずき合うだけ。それだけで孤立感が和らぎ、もう少し生きてみようか、と思うことができた。そうして生き延びて来られたのだ。仲間を得ることは、暗い夜道で迷わないように声を掛け合うことに似ている。
ただ、これからもSNSだけで十分、とは思わない。時間をかけて出向いて行き、顔を見て再会を喜び合って、温度感のある交流をすることは人が人であり続ける上で必須だからだ。それでも今の状況にSNSが存在してくれたことには、感謝しかない。ともかく「良いツール」として上手に使いこなすことだと思う。
そのSNSもいろいろな段階を経て、いろいろな性格のツールを提供している。Eメールで一定の仲間を構成して会話するメーリングリスト、公開で情報を送り合って相互のつながりと広がりが目に見えるFacebook、情報の「送り手が誰か」が明確で発信の速さでは抜群のTwitter。ラインは少数のグループ内で連絡を取るには、本当に使いやすい、と思っていたが、そのラインらしいツールとして最近始まったらしいのがこのオープンチャットなのだろう。
昨日はこのオープンチャットの中心になる人たちが「血液がんと造血幹細胞移植の解説」動画を作成して、投稿していた。動画の視やすさとわかりやすさにびっくり。血液情報広場・つばさの代表も脱帽してしまった。
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