駅前の若者達
春爛漫だった土曜日から一転して、寒の戻りの日曜日。駅前の広場は、JRを降りて街へ散っていく人々とこれから駅へ入っていく人とで混雑していた。私は駅から広場を抜けて、街へ向かう。信号が変わるのを待ちながら広場側を見ると、若い人たちがアウンサンスーチー氏の顔写真を掲げながら、「ミャンマーの人々への応援メッセージとして、署名を!」と呼び掛けている。昨日の新聞記事に、ミャンマーからの「あと何人の死体があれば国連は動くのか」という訴えが掲載されていたことを思い浮かべつつ、広場を横切るために歩き出した。y行き来する人の数の多さに紛れて見えなかったが、広場には署名用紙が乗ったボードを肩にかけた若者が、思いがけない人数で立っている。「署名するね」と声をかけ、渡されたボールペンを受け取る。用紙は半分くらいまで既に埋まっていた。それを見て胸が熱くなった。数十秒くらいで署名は終わったと思う。頑張ろうね、と言ってその場を後にした。
しかし、頑張ろうね、と言ったものの、ミャンマーに対して私にはあれ以上のことはできない。昨日の新聞に、「あとどのくらいの死体があれば、国連は動いてくれるのか」という記事があった。胸の痛む写真も。あの署名が果たしてミャンマーの現状を変えることにどのくらいの力になるだろうか。それでも、署名用紙に記載するという微々たることでも、参加できたことは良かった。寒い日曜日の夕暮れ時、若者たちは真剣な面持ちで行動していた。それで、私という一介の市民も想いの一端を差し出すことができたのだ。世界で、日本で、仕事や社会活動に黙々と勤しんでいる無数の「仲間達」がいる。彼らに感謝しつつ、力をいただいて、私は私の本筋を真っすぐ進んで行こう。そう思えたひと時だった。
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