ジャンピング
ガラスの紅茶ポットを買って、茶葉のジャンピングを楽しんでいる。
朝の食事のあと、やかんをコンロにかける。できれば新鮮な水を、充分に沸騰させて。お湯が沸いたら、まず紅茶ポットに少し注いで、蓋をして1分くらい待つ。ポットが温まったら湯を捨てて、最近お好みの銘柄の茶葉をティースプーンに心持ち大盛りにして一杯。そこに熱いお湯を注ぎ込んで、直ぐに蓋をする。そして、急いで中腰くらいになって、ポットを横から眺めて至福の2分間を過ごすのだ。カラカラに焙煎されていた茶葉が、沸騰したお湯を注がれて一気に皆で浮き上がって、くるくる踊ったり跳ねたり(しているようにみえる)この紅茶の茶葉の跳んだり跳ねたりをジャンピングと言うのだ。やがて茶葉から赤いエキスが美しい影のように染み出してくる様子に、さあ今日はあれして、これして…、とやる気をもらう。ジャンピングが穏やかになった頃に蓋を開けて、ティースプーンで底を軽くかき回して、そしてゆっくりとティーカップに注いで、モーニングティータイムである。
ところで、日本茶やコーヒーは飲むためのカップを温めると美味しくいただける、というのは誰もが異論のないところだと思うが、紅茶は「ポットは温めるが」「ティーカップは温めない」。つまり室温で良いのだ。充分に熱くして淹れた紅茶を、室温程度のカップに注いで、それでおそらくちょうど良いのだと思う。実はある人が、イギリスで友人に紅茶を淹れて出すとき、日本茶のようにカップまで温めたら、「これでは、出されて直ぐに飲めない」と興ざめしたような顔をされたのだそうだ。過ぎたるは及ばざるが如し。
朝のコーヒーを大切にしている人や、ご飯のあとのとっておきの日本茶が一日の活力、などとそれぞれの「目覚まし」があると思う。私の最近の活力は、ティーポットの紅茶のジャンピング。これにお気に入りのビターチョコレートがあれば、誰も訊いてくれる人がいなくても、思わず、「美味しいです」。
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