映画「ロード・オブ・ザ・リング」

新宿サブナードの地下街を歩いていたら、壁一面に映画「ロード・オブ・ザ・リング」の広告が!小説に心を癒されていた時から、「旅の仲間」(同行の志士)という言葉の響きに医療や患者支援で立ち働く人々を重ねて得心していた。映画が公開されると映画館に飛んで行って、主人公フロドの真っすぐな視線や老ガンダルフの毅然とした統帥に心酔した。そのときのときめきが蘇って私は思わず立ち止まり、スマホを出して写真を撮りまくってしまった。

トールキンの小説『ロード・オブ・ザ・リング』は、イギリスで第二次世界大戦中に書かれて当時から知る人ぞ知る作品だったとか。それが1960年代にアメリカで大ブレイクしたのだが、当時のアメリカのファンの間で「ガンダルフをアメリカの大統領に」というスローガンが交わされたらしい。その逸話が私はわりと好きだ。現実の世界では勧善懲悪はあり得ず、是々非々で人間関係を調整しなければならないこともあるし、まして政治となれば、時には、汚濁にまみれる生業の代名詞になったりする。1960年代といえば、社会がヒットラーのような怖い人物を生み出して多大な被害者を出してしまった事実が判明し続けていた時期でもある。『ロード・オブ・ザ・リング』のフロド、ガンダルフ、そしてエルフたち(妖精、身も心も美しい存在)はどこまでも透明で真摯な心で進んでくれる。その精神で導いてほしいと願う、そのあこがれや希望はとてもたいせつではないだろうか。

映画、小説、絵画、音楽、舞踊などなど。美しく洗練された芸術の数々は、心に穏やかな膜を被せてもらえる。厳しい現実の矢が刺さらないように、たまには好きな類の芸術に触れたいと思う。戦火に逃げ惑う人々にも、1日も早くその機会が訪れますように。

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母の心、ふんわりんりん…

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