犬に説明しても?
TBSのラジオ番組『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』(毎週金曜日 21時~)で、ゲストの視覚障碍者のおひとりが「盲導犬に言葉は通じないです」と言って笑った。「なので、視覚障碍者に道を訊かれたら、訊いた本人に説明してください」。
番組を聴いていて、なるほど~!と得心したことや、知らなかった…、と驚いた事がたくさんあった。驚いた事の筆頭が、日本で活躍している盲導犬がたった900頭くらいだということで、私の想像よりかなり少ない。
得心したこともたくさんあった。その第一が、以前から「なぜ盲導犬の名前は太郎や花子ではなくて、ロビン、ジェリー等なのだろう。そしてなぜ、ストレート・ゴー(さあ行こう、じゃなくて)なのか」と思っていた。まずなぜ名前が外国名?なのか、は素敵な理由(と私は思った)だった。それは、
「盲導犬になる犬は、ともかく可愛がられて育ちます。なので、名前を呼ばれるのが大好きです。でも普通に飼われている犬が名前を呼ばれるのは、往々にして、いたずらが見つかって叱られる時かな?一方、盲導犬は飼い主を先導して歩いているのではなく、実際は飼い主が決めた方向に従って進んでいるだけです。ですから、歩いている時や信号で止まっている時などでも、名前を呼ばれると喜んでそちらを向いてしまいます。すると、連れていた視覚障碍者は方向がわからなくなってしまいます。それで時に信号待ちで横に立った人から、あらー、可愛いわねえ、お名前は?と訊かれたりしますが、おしらせしないことしています」。そうなのか、だから太郎も花子も、いまの子らに多いキラキラネームも避けるべき、のようだ。
そして、私の理解が一歩進んだことも。
「犬は信号が赤になったから止まったのではなく、連れている飼い主が‘赤らしい’と察して止まったから、止まったのであって、信号を理解してないです。もし青になっても動き出さない視覚障碍者と盲導犬がいたら、人の方に向かって青ですよ、と声をかけてください」
また、ゲストの方々の経験に‘同感’‘肝に銘じます’と思う事もあった。
あるとき、ゲストの方の傍にいた小学生が「ママ、このワンちゃんは変わった紐を付けているね。なんで?」。そう訊かれたお母さんは、「うん、このワンちゃんはお仕事しているのよ。お家に帰ったら詳しくおしえてあげる」とだけ言ったのだとか。そのゲストの女性は「その答え方がとても良かった、ありがたかったです。近くに来て直接犬に偉‘いわねえ’と言いながら触ったり、案外多いのが‘可哀そう’と聞えよがしに言われることです」。
彼らは大好きな家族と一緒に歩いている。だから特に偉くもないし、決して可哀そうではない。理解が届かないのであれば、それが障害であれ病気であれ、言及しないことだ。必要に応じた無関心も時にはたいせつ。宮藤さんの番組にそう納得し、同感もした金曜日だった。
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