映画「グレート・グリーン・ウオール」

アフリカに実在する農地・樹林再生活動であるグレート・グリーン・ウオールを歌声で支援しようと決めた女性歌手・モジャの2017年のレポート。GGWは2007年にアフリカ連合の決議で決まり始められた。「ウオール」は、アフリカ大陸を西海岸のセネガルから東へ、モーリタニア、ブルキナファソ、マリ共和国・・・エチオピアを経てジブチまで10か国をつなぐ8,000キロの緑の壁が想定されている。素晴らしい目標だが、これはアフリカだけではなく世界にとって実現しなければならない責務であると思う。

マリで生まれて育ったインナ・モジャは、豊かな声で「いつかアフリカの時代が来る、と言っても笑わないで。夢はかなうから」と歌い続ける。あるシーンでは、歌うモジャの前に砂漠が広がり、1点の草木もない。

モジャはこの緑の長城計画ルートをなぞりながら、アフリカ横断の旅をする。最後はニューヨークの世界連合ですピーチをするのだが、途上では随所でライブに参加し、民族紛争で傷ついた10代の少年・少女らにも会い、涙しながらも微笑みを向けて、「夢を信じよう」と語りかけていく。

何度か「まだ15%」というナレーションが流れるものの、実際にその15%の緑地を視ると心まで潤うのを感じて嬉しくなる。中でもエチオピアで緑地再生に成功しているエリアのリーダーに会う場面では、この計画はきっと実現するに違いない、と思える。エチオピアは20年前の干ばつでの死亡者が45万人だった。緑地再生活動は続いているが、いま彼の家の周りにはアボカドやマンゴーが豊かに実り、広大な農地や緑地が広がってたくさんの村人が暮らしている。

干ばつ、高温化などで食糧が生産されなくなると途端に紛争が激化し、同時に人口流出が始まる。故郷を脱出してヨーロッパに行こうとしたが道が閉ざされた若者達の涙。誰だって豊かな人生を歩きたい。15%だが緑地化が進み、エチオピアの成功例をみたモジャは歌う。「一緒に歩き続けよう、きっと夢は叶うから」。何よりもインナ・モジャの若さに希望を感じつつ、20年後を楽しみに一緒に夢みたい。

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