それもまた、リズム

ゴールデンウイーク明けの月曜日の午後、地下鉄の早稲田駅に降りて行ってびっくり。改札前にまで学生が溢れている。昨日まで街全体が静かで、戸山丘陵の若葉したたる木陰もtとても歩きやすかったのだが、その静けさも終わったのだ。今日から平日なのだから当然ではある。

地下鉄で移動しようとしたのは、急ぎ買い足したい事務用品があったからで、そのまま一駅乗ると次はJRで二駅で新宿。歩いてでも行けるのだが、速歩自慢の私に家人が付いて来れず、仮に歩きで行こうとすると途中でお互いに悲劇的な気分になるので、公共の乗り物を使うことになる。

しかし、若者達、駅にも道路にもてんこ盛りになって賑やかに移動しているが、授業やら部活やら個人の趣味やらで身も心もフル回転なのだろうなあ、と彼らのエネルギーを感じてそう思った。JRに乗って家人と並んでつり革を掴んだ時だった。私の前に座った女の子は手元のスマホを睨んでいて、周囲に障害者が居ようが妊婦が居ようが知らん顔の今どきの若者、その隣の家人の前に座った高校生くらいの女子は膝の上のiPADに顔を伏せている。そのiPad女子が、山手線が動き出した瞬間にぱっと顔を上げて家人を見た、と思った…が、違った。彼女は爆睡していて、iPADに触れんばかりに下がっていた頭を、おそらく息苦しくなって(寝返り風に)に振り上げたのだろう。首、大丈夫?と言いたくなるくらいの勢いと、顔の仰向け具合。そしてそのまま薄く口を開けたまま熟睡している。可愛い寝顔を思いきり向けられた家人は困ったように視線を窓外に移し、二駅じっと固まっていた。あとで「一瞬、席を譲ろうとしてくれたのかと思ったが」「それにしても、よくiPADを落とさなかったなあ」等と苦笑していた。

その帰り。次は西武新宿線の始発駅から乗ることにした。ヨドバシカメラ等から地下道を少し余分に歩くことになるが、ともかく西武新宿―西武高田馬場の間の一駅は、のんびり乗れるのだ。始発駅特有の改札前まわりの広々感も好ましい。既に出ようとしている各停があるが、急がなくていいね、と言いながら歩いていた。その時だった。その各停の、既に車掌さんが右手を振って「出発」の合図を出している車両に向けて、私たちの横をドシドシバタバタ凄い勢いで高校生くらの女子が突進していくではないか。ツヤツヤの長い髪が、強風にはためく鯉のぼりの吹き流しくらい真っすぐ後方になびき、両手に持った複数の荷物が賑やかな音を奏でながら、車掌さんの目前で車内に飛び込んで間に合った。ああ、良かった、と2人で思わず声を揃えて笑ってしまった。始発の各停なので車内は必ず座れるはず。あの子も、さっきのJRの子みたいに爆睡するのだろうか。

それにしても、ゴールデンウイークだけではなく普段の土・日でも、休日にはそれなりに予定があるはずだ。勤めているなら休日にしかできない家仕事があるだろうし、家族という単位でのレジャーや親族との付き合いもある。言ってみれば日頃の心身の疲れを違う種類の疲れに換える、という仕組みのリフレッシュ。そしてそれがまた人の暮らしにとって大切なリズムなのかもしれない、といつも思う。

A.Hashimoto's blog

母の心、ふんわりんりん…

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