術後3日

さっき初めて自分で歩いてトイレに行けたけど、船酔いみたいにふらついて…と蒼い顔で言う。まあねえ、4時間ほど全身麻酔で眠っていて、その間は上から下からチューブ入っていたんだし、と頷いているところに看護師さんが「お食事が摂れていないので、今から点滴します」。2日や3日は食べなくても大丈夫なくらい脂肪はあるでしょう、などと冗談は言えないか、と思っていると、家人が「持って来た水のボトルがあと半本になっちゃったので、買って来て」と針を刺されていない方の手で示した。病棟から降りて1階のコンビニで水を一抱え買って、ベッドサイドの冷蔵庫に入れた。それが昨日のことだった。

今日、面会に行くとベッドは空だった。歩行器もない。どうしようかな、と10分ほど出たり入ったりしていたが、面会時間は15分と決められている。昨日は唇が荒れていたのを見たのでリップクリームを枕元において、帰ることにした。

でも直帰するのも、と思い、コーヒーショップに。神楽坂には名だたる飲食店が軒を連ねているのだが、その一軒で都内では名の知られている喫茶店のT屋に入った。この神楽坂T屋なのだが、入り口のドアが凄く重い。まるで「当店のコーヒーカップは2キロほどあります。このドアが開けられない方はコーヒーは召し上がれません」とでも言っているようだ。来るたびに毎回そう思い、内心で苦笑しつつ入る。

木曜日の午後4時である。しかし店内はほぼ満員。優雅な人がこんなにたくさんいる、と思ったものの、直ぐに「いやいや、全員がそうとは限らない。私だってこの一員なのだが、病院での面会帰り。優雅でも呑気でもない」。

コーヒーとケーキのセットを注文し終わったところに、ショートメールが来た。「リップクリーム、ありがとう。今日の昼食は完食でした。いまコンビニ覗いたり、歩行室で歩いたりして来たところです」。うーん、一夜にしてこの快復ぶり。なかなか先が見えない長期入院の方々の実情を思うと、優雅では無いが、かなり呑気ではあるか。

A.Hashimoto's blog

母の心、ふんわりんりん…

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